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2019/10/11

韓国に毅然と反論を。原発処理水問題。

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こんにちは。参議院議員のやながせ裕文です。

 

日本維新の会は、原発処理水問題についてTF(原発処理水タスクフォース)を立ち上げ、10月8日には緊急提言書を取りまとめ「原子炉等規制法の基準を満たした上で早期に海洋放出するべき」と結論づけた。長期に亘りこの問題に取り組んできた足立康史議員をTF長とし、事務局長として私も参画したものである。政府が回答を出すことに躊躇し先送りし責任を果たそうとしない現状を打開することを意図したものだが、政府のこの姿勢は、あらゆるところに悪影響を与えている。その一つが外交だ。

 

9月17日のIAEA年次総会では、韓国がこの問題を取り上げ日本の対応を批判した。韓国科学技術情報通信省のムン第1次官は「福島原発汚染水の処分について依然として明確ではなく、おそれや不安が増幅されている。日本政府の高官からは、海洋放出しかないという発言もあった。海に放出されたなら、それは日本国内の問題にとどまらず、世界の海洋環境に関わる深刻な国際問題となる」と発言し、IAEAに調査を要求した。10月9日には、IMO本部で行われた海洋投棄の禁止に関する条約の締結国会議で韓国は同様の主張を繰り広げている。

 

残念ながら韓国の主張の前段は一部受け入れざるをえない。処理水の処分方法について、政府は6年間に亘って、「トリチウム水タスクフォース」「多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会」など数十回に及ぶ有識者を交えた会議を開催しながらも、結論を出せずにいるからだ。トリチウム水に対するありもしない風評が流れている一因は、この政府の「決められない姿勢」にあるとも言える。

 

しかし後段については毅然と反論するべきだ。本日の予算委員会で我が党の馬場幹事長が明らかにしたように、韓国原子力学会の資料によると、韓国全体で2004年から10年で約6000兆ベクレルのトリチウムを排出してきたことがわかる。福島第一原子力発電所に貯蔵されている処理水100万トンにおけるトリチウムは約1000兆ベクレルであり、その6倍にあたる。韓国の主要な原発である月城(ウォルソン)原発だけでも約3000兆ベクレルを排出しているのだ。もちろん、韓国の排出するトリチウム水と日本が排出する可能性があるトリチウム水が同質であることは言うまでもない。

 

原田環境大臣(当時)から処理水の対応に関し、「所管を外れるが、思い切って放出して希釈する方法しかないと思っている」と発言があり、マスコミにも大きく取り上げられた。退任直前の発言であり、遅きに失した感は否めないが、結論を先延ばしにする政府に対して異議を唱えたものであり、評価できる。しかし、これに対し、後任の小泉新大臣は9月12日「発言は前大臣の個人的な所感」と陳謝し「所管外」である旨を述べ発言を後退させた。

 

「風評被害」を懸念してのことだが、この対策としては、奇策はなく科学的情報を正確に丁寧に伝えることしかない。決断を先送りすることによって、国民の「トリチウム水」に対する理解が深まることはないだろう。これからも自分の事を棚上げにして、韓国の外交戦略に都合のいいように使われていくばかりだ。政府は、メディアで関心が高まっているこの機会を逃すことなく、早期に決断し、徹底して正確な情報を国内外に発信するように努めるべきだ。

 

日本維新の会は、将来世代のために、問題を先送りすることなく、困難な問題に真摯に向き合い科学的合理的な結論を出す。今後も、責任政党として政治の役割を果たしていく。