こんにちは。東京都議会議員(大田区選出)のやながせ裕文です。
今日は、受動喫煙対策について。
厚生労働省が受動喫煙対策を強化する健康増進法の改正について、飲食店では店舗面積150平方メートル以下なら喫煙を認めるという、新たな案を検討していると報道された。
当初の30平方メートル以下のバーやスナックに限る案から、面積規制を大幅に緩めることになり、この案が成立すれば、対策は後退したといえる。
国の動きに先駆けて、都議会では10月に「子どもを受動喫煙から守る条例」が成立した。この条例では、18歳未満の子どもに受動喫煙をさせないよう努めることを「都民の責務」と規定し、子どものいる部屋や自動車内で喫煙をしないよう努めなければならないとしている。
来年4月1日から施行されるが、 罰則規定はなく、あくまで「啓発」を目的としたもの。
この条例案の議決に関しては、一部会派から「私的空間を規制するには、審議が不十分」という意見も出たが、都民ファーストの会が押し切ったかたちで可決された。
私も審議時間の必要性は認めながらも、罰則がない啓発目的の条例であること、「子どもをタバコの煙から守る」という目的の重要性から、賛成をした。
しかし、納得がいかないのが、「都庁」も「都議会」も禁煙とされていない点だ。
都庁では3フロアに一つの「喫煙スペース」があり、前を通ると煙が漏れ出てくるのがわかる。都議会では、議員の執務室は喫煙し放題だし、喫煙スペースは扉もなく、とにかく煙がダダ漏れ状態だ。
先の都条例にあてはめると、18歳未満の子どもは、受動喫煙対策が不十分な店舗などに立ち入らせないよう努力義務を課されている。つまり、条例では「都議会」は、子どもを立ち入らせてはいけない場所となる可能性がある。
都民に責任を求める前に、都議会や都庁が率先して責任を果たさなければならないのではないか。
来月の議会改革検討委員会で、ようやく都議会における「受動喫煙対策」が議論されるとのこと。「全会一致とならない」ことから、改革は遅々として進んでいない様子だ。
しかし、「都民は受動喫煙対策に努力しろ!」と言いながら、「都議会での受動喫煙対策は慎重に議論を!」では、都民の納得は得られない。
「都民の責務」を定めた条例を、一部の反対を押し切って議決しておきながら、「都議会改革」が「全会一致」とならないから出来ない、なんてことはとても言えないだろう。
これから、国も都も受動喫煙対策の議論が本格化する。都がリーダーシップを発揮したいのであれば、まず足元の都庁舎・都議会の禁煙から始めなければならない。