こんにちは。東京都議会議員(大田区選出)のやながせ裕文です。
次から次へと、仰天報道が続いている。朝日新聞の本日付け朝刊。
2020年東京五輪・パラリンピックのボート・カヌー会場について、国際オリンピック委員会(IOC)が、現計画の海の森水上競技場(東京湾臨海部)での実施が困難な場合を想定し、韓国での開催を検討していることが17日、分かった。複数の大会関係者が明らかにした。
複数の大会関係者って誰だ?
というツッコミもしたくなるが、IOCのバッハ会長が来日するタイミングでの情報リークだ。驚きというか、恐るべき執拗な執念を感じる。
そこまで「海の森」での開催を守りたいのか?
都政改革本部の調査チームは先月29日、ボートなどの会場を「海の森水上競技場」から「宮城県長沼ボート場」に変更する案を盛り込んだ報告書を発表した。 宮城県の村井嘉浩知事は、仮設住宅を選手村に転用する案などを都側に提案し、小池知事は15日に現地を視察した。
大会組織委員会は、この動きに対して事前に両知事が会談したことを取り上げ「水面下で他県知事と話し合うのは、極めて不透明なやり方」との声明を出し牽制。
また、間髪入れず、大会組織委員会は宮城県登米市の長沼ボート場について、9つの問題点を指摘。長沼は課題が多く不適だと発表した。これに呼応するように、各競技団体も「海の森」での整備を求める要望、声明を発表した。
そこに、本日、韓国開催検討の情報が飛び込んできたわけだ。凄まじい綱引きだ。
では、この韓国開催の現実性はどうか?
IOCが五輪改革を目的として策定した「オリンピック・アジェンダ2020 20+20提言」によると提言1-4で次のような記述がある。
IOCはオリンピック競技大会では、主に地理的要因や持続可能性の理由から、複数の競技または種別を開催都市以外で、または例外的な場合は開催国以外で実施することを認める。
確かに、他国での開催も可能だ。IOCは競技会場を最終的に承認する立場であり、IOCがその意向を持てば、競技会場を提案することも可能だろう。
では、大会組織委員会はどうするのか?
長沼案には9つの問題点があるとした。東京から離れることにより、選手村の分村しなければならず、また、アスリートが移動する負担がかかり問題だとした。
これは、韓国での開催となれば、より深刻な問題となるはずだ。
とすれば、大会組織委員会は、長沼案でそうしたように、間髪いれず、韓国案の問題点を20くらい上げて、全力で反論すべきだろう。
さてどうするのか?組織委員会の言動が見ものである。
私は、現状においては、復興五輪という当初のコンセプトを具現化でき、整備費が安く済む長沼への変更に賛同する。都議会議員として、アスリートファーストも当然だと思うが、整備費ファーストの立場をとる。コストの高騰はとても容認できる範囲にとどまっていないからだ。海の森会場が、長沼より低コストで整備できるのであれば、現計画を維持だ。
「海の森」が変更されると、まさに「蟻の一穴」で、これまでのケタ外れに膨らんだ整備費に次々とメスがはいることになる。これに困る人たちは、あらゆる手段で阻止をしたいのだろう。都民やアスリートを置き去りにして、利益を貪る者があるとすれば、許されるものではない。
本日、IOCのバッハ会長が小池知事と会談する。一定の決着をみるものだと考えるが、そこからが勝負だ。途方もなく膨らんだ五輪予算の適正化は、これから始まる。コンパクトな五輪に向けて、予算の精査を続けていく。