9月26日、第3回定例会本会議で質問にたちました。6分間という短い時間で何を訴えるか迷いましたが、
①東京オリンピックが招致できたからといって、調子に乗って無駄遣いするな!
②地下鉄一元化は今が絶好のチャンス。国の協力を勝ち取れ!
③原発に依存しないエネルギーの自給自足体制を整備せよ!
の3点に絞って、簡潔に(ならざるをえない)質問をしました。答弁では「方向性の確認」ができましたが。。。長くなりますが以下全文を掲載しますので、ご覧ください。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京開催が決定いたしました。東京開催は、石原前知事が発案し、それを引き継がれた猪瀬知事を中心に多くの方が、非常に長期にわたるご尽力によってかち取ったものだと考えております。私たちは、協力いただいた皆様への感謝を胸に、東京開催の成功に全力を尽くしてまいりたいと、そのように思っております。そこで、東京開催における課題について端的に三点、お伺いしたいと思います。
まず、開催におけるコストの問題です。今回の招致は、前回の二〇一六年大会招致の経験やノウハウを活用し、招致経費は前回百五十億円だったものを七十五億円とするなどコスト削減に努め、さまざまな創意工夫によりかち取ったものと考えます。招致をかち取った今、二〇二〇年の大会開催に向けて、施設整備を初めさまざまな準備に着手していくことと思います。四千億円の基金の使い方、整備の手法は、都民、国民の理解をしっかりと得られるように、招致経費と同様、丁寧に創意工夫を重ねていくことが必要であります。そこで、施設整備に当たっては、基金を有効に活用し、効率的かつ着実に進めるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、交通網の整備についてでございます。グローバルな都市間競争が激化する中で、都は、生き残りをかけて道路、港湾、空港など世界トップクラスの交通、物流ネットワークを整備し、戦略的に都市づくりを進めていかなければなりません。都心に流通する交通を迂回、分散させる三環状道路の早期の整備、羽田空港の国際線の増枠実現など課題は山積しています。都は、大会招致の成功を、これらの諸課題を加速度的に解消する契機として、迷うことなく位置づけるべきであります。特に、都民の生活に密着し、大会期間中の観客の移動の核となる地下鉄は、都営地下鉄と東京メトロに二元化されており、わかりづらい複雑な乗りかえや二重運賃など、利用者は不便を強いられています。駅やその周辺のバリアフリー化も急務であります。これらの解決には、経営の一体化、すなわち地下鉄一元化が必須であることは明らかですが、都のラブコールに対して、これまでは国土交通省の思惑で振られ続けてきたわけであります。しかし、オリンピックの開催が決定し、状況は変化をしました。国はオリンピックの開催に最大限協力すると表明をしています。国と見解の相違がある地下鉄一元化についても、今こそ国の協力を取りつける好機であります。深夜バスの運行など、かゆいところに手の届く施策も必要であります。それと同時に、少ないコストで東京の利便性を大きく向上することができる一元化、そして民営化は、投資の活性化など波及効果の高いセンターピンとも呼ばれるべきものであります。この機会を生かし、地下鉄一元化など地下鉄改革を一層強力に進めるべきと考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。
次に、エネルギーの問題です。福島原発周辺での放射能汚染水問題は、今回の招致活動においてもその対応を各国が注目した重要な課題であります。猪瀬知事がおっしゃるとおり、状況はコントロールされていませんが、安倍総理は自身が責任者であるとして、この問題を解決することに強い意欲を示しています。この困難な状況に対するチャレンジに、都は、持ち得る資源、技術を結集し、全力で支援していくことを望みます。また、都民の安全を確かなものにするために、そして、世界に東京が安全であるという根拠を示すためにも、汚染水の東京への影響を検証し、食の安全を明らかにするために、産地市場だけでなく、消費地市場で放射性物質検査を実施するなど、重層的なチェックをするべきであります。ぜひ検討いただきたいと要望しておきたいと思います。福島第一原発事故は、我が国の電力供給体制の脆弱性を浮き彫りにしました。電力の大消費地である東京が、その成長を続けるには、安定した電力供給体制の確保が不可欠であります。しかし、その手段として原子力発電は、リスクが許容限度を超えており、脆弱で不安定であることは明らかです。都は、可能な限り、エネルギーの自給自足、地産地消を目指し、原子力に依存しない電力供給体制の確立を目指すべきと考えます。二〇二〇年オリンピックを招致した東京は、脆弱な電力供給体制を乗り越えて、安定した都市機能を備えるべく、万全の体制をしかなければなりません。とりわけ首都圏では、老朽化した火力発電所が稼働し続けており、安定供給の面では好ましい姿とはとてもいえません。エネルギーの一大消費地である東京都は、今後の電力の安定供給についてどのように取り組むのか、知事の見解を伺い、私の質問を終わります。
〔知事猪瀬直樹君登壇〕
◯知事(猪瀬直樹君) やながせ裕文議員の一般質問にお答えします。地下鉄改革についてでありますが、東京は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会で海外から大勢のお客様をお迎えします。東京の主要な交通機関である地下鉄は、観客輸送等に大きな役割を果たすことから、都営地下鉄と東京メトロの一体的なサービスの提供を実現するためにも、地下鉄の一元化は必要であります。今般、メトロへの株主提案を契機として、地下鉄一元化を展望しつつ、サービスの改善、一体化を推進するため、東京都と国土交通省及び東京メトロから成る、東京の地下鉄の運営改革会議を設置し、七月には第一回の会議を開催しました。この会議では、乗り継ぎ改善や運行時間の拡大、人的交流など、十一のテーマについて検討を進めることとしており、その具体的な成果として、二十七日金曜日から六本木駅の改札通過サービスを始めます。また、今後、東京メトロ丸ノ内線では十一月から、東西線では十二月から、最終電車の時刻を遅くし、JR線との接続改善などを実現します。さらに、今月から両事業者間で人事交流を開始し、運営の一体化を一層進めており、地下鉄一元化はこうした取り組みにより一里塚を越えたと認識しております。オリンピック・パラリンピック大会を開催する国際都市東京にふさわしい、お客様、観光客、すなわち利用者の皆様のための地下鉄にするための改革をさらに一層続けていきたいと思っております。
電力の安定供給についてでありますが、首都圏には、稼働から四十年以上経過した東京電力の老朽火力発電所が一千万キロワットあり、その予備軍である三十五年以上のものを加えると、合わせて千六百六十万キロワットにも上り、これは東電火力発電所の約四割に当たります。こうした老朽化した発電所は、故障により運転停止のリスクがつきまとい、電力の安定供給に支障が出かねない。そのため、首都圏の電力安定供給の観点から、老朽化した発電所を高効率の天然ガスコンバインドサイクル発電にリプレースすることが急務であります。迅速なリプレースの実現のため、環境アセスメントについては、国に対し、リプレースアセスの短縮化に関する具体的な提案を行いました。その結果、従来、三年から四年かかり、環境省による見直し後も二年以上かかるとされていたアセス期間を、さらに一年強にまで短縮し、リプレースに向けた環境を整えました。加えて、官民連携ファンドを立ち上げ、このファンドを活用した十万キロワット級発電所が来年八月に運転開始となる予定であります。こうした取り組みも安定供給につながります。今後とも、国や東京電力に対してリプレースの促進に向けて強く働きかけるなど、首都圏の電力安定供給のための努力を続けていきます。
〔スポーツ振興局長細井優君登壇〕
◯スポーツ振興局長(細井優君) オリンピック・パラリンピックの施設整備についてでございます。都は、有明アリーナや夢の島ユースプラザなど十の新設会場の整備と、有明テニスの森などの既存の施設の増改修を行うこととなっております。これらの施設においては、大会期間中、選手がベストな状態でプレーをでき、観客も安全で快適に観戦できる環境をつくり出すことが重要でございまして、大会終了後も、二〇二〇年東京大会のレガシーとして、都民、国民に愛されるものとしていかなくてはなりません。今後、計画及び設計の段階から整備内容や工法などを十分検討しながら、効率的かつ着実に整備を進めてまいります。