2月14日、都議会民主党「防災対策PT」で早稲田大学の柴山教授を招いて「東京湾における津波対策」について講義して頂きました。
取り急ぎ備忘録として、まとめずに書いておきます。
柴山知也氏は早大東日本震災復興研究拠点・複合災害研究所所長。現在は神奈川県の依頼で津波対策を検証中。東京都に関しては、一部データを調査したのみ。
東北各地での調査では、湾の形状などにより津波の影響が大きく異なることが明らかになっている。つまり、全国一律の対策はありえず、地域ごとの想定に基づいた対策が必要。
今回の津波の「被災メカニズム」を解明し、今後の防災システムへの提案を!
日本全国にわたる防災計画の練り直しが必要。
①想定されている「津波の規模」を見直す→数値予測と堆積物ボーリング調査を併用
②想定値に縛られず、それを超える津波が来襲した場合にも対応可能な避難計画を作成
③地震研究者・津波研究者・市町村防災担当者の「分業」を見直し、「想定外」を排除
では、「どのレベルまで対策するのか」についての考え方
1)津波防護レベル:構造物で対応する津波のレベル
→数十年から百年に一度程度の津波を対象。沿岸部の資産を守り、避難を助けることが目標。
2)津波減災レベル:避難計画のための津波のレベル
→防護レベルをはるかに上回る津波を対象。人命をまもるために必要な最大限の措置を行う。
つまり、構造物で津波を防ぐのには限界があるため、海岸防護施設の設計は100年に一度クラスの津波を想定して行うが、避難計画を策定にあたっては、最大級の津波を想定する。ということ。柴山教授は策定の優先順位として、減災レベルをまず検討するべしと仰っていました。放射能対策も本来そうあるべきだと思いますが。。
津波の影響をシュミレーションするにあたっては、過去に起きた元禄関東地震・明応東海地震・慶長地震などを用いるが、可能性のある東京湾北部地震・三浦半島断層群地震などが検討の対象となる。同時に、古文書の再検討や東京湾でのボーリング調査が必要。
過去の地震を例に数値を解析すると、慶長型の場合が最も高く東京港全体に約1.5mの水位上昇を生じ、特に辰巳・日の出周辺が比較的高い。東京湾においては湾奥部よりも湾口部のほうが、津波危険性は高い。
高潮に関しては、東京湾から東に30㎞離れた位置を南から北に台風が通過する場合が最も危険。最高水位は1.81m。
江東区北部は氾濫範囲が広く、大きな被害の危険性。堤外地の氾濫地域では、木材・コンテナの流出被害の危険性。辰巳・日の出埠頭周辺を中心に地震防災計画の見直しが必要。
ちょっと長くなったので、次回につづきます。