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2019/01/19

バンクシー落書きからみえる小池知事の焦り

お知らせ / ブログ / 活動報告

こんにちは。東京都議会議員のやながせ裕文です。

 

ひとつの落書きが騒動を起こしている。覆面芸術家として知られる「バンクシー」によるものと思われる落書きが、都の防潮扉に書かれていたらしい。かなり以前から存在したもののようだが、この小池知事のツイートによって騒動は拡大。

 

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このツイートを見た時に、二つの違和感を覚えた。

 

第一点目は、都の公共物に書かれた「落書き」を前に「贈り物かも?」と無邪気に写真を撮る小池知事の姿勢である。小池さんが知事でなければ、「可愛らしい」ツイートだね、で終わるかもしれない。しかし小池さんは東京都のトップだ。そのトップが、都の公共施設への「落書き」を容認しているとも受け取れる。これは多くの方が疑義を呈していることからも、そう受け止める人が多かったのだろう。

 

しかし、「落書きを容認している」との批判を受けることは、少し考えればわかること。では、なぜこのツイートを発するに至ったのか?

 

都庁ではここ最近、小池知事がイベント回りにご執心であるともっぱらの評判だ。知事レベルが普段出席しないイベントにも、とにかく顔を出す。公約である「東京大改革」は進まず、「都民ファーストの会」は選挙で連敗中。また、年明けすぐに3名もの離党者を出した。

 

小池知事は、都知事選挙を来年に控えている。厳しい評価が高まるなか、支持率を確保するため、都民に顔を売る戦略に転換したのだろう。とにかく「焦って」いるのだ。この「焦り」が、炎上覚悟の「可愛らしい」ツイートに至ったのではないか。また、PR戦略を担ってきた側近の特別秘書と不仲説が流れており、彼の不在も影響しているのだろう。

 

第二点目は、「ねずみ」の絵を見て、「かわいらしい」「東京への贈り物」と公然と表現したことだ。

 

都庁・都議会で「ねずみ」と言えば、小池知事による「黒い頭のねずみ」発言を誰もが思い出す。五輪会場の見直しがうまくいかなかったことに対して「大山鳴動してねずみ一匹ですか」と記者に問われ、小池知事は「ねずみどころか頭の黒いねずみがいっぱいいることがわかった」と建設工事の入札に対して「不審な点がある」と示唆したのだ。

 

「黒い頭のねずみ」とは、物をかすめ取る悪い輩を例えた慣用句であり、それまで都議会を牛耳ってきたドンや勢力を批判したものだった。しかしその後の調査の結果、入札経過におけるいかがわしい点は発見できず、「黒い頭のねずみ」は立証できず空振りに終わった。小池知事にとっては、気まずい思いの残る象徴的な言葉のはずだ。

 

今回の「落書き」はまさに「黒いねずみ」が描かれており、私は一目見て瞬時に「黒い頭のねずみ」発言を思い出した。だが、小池知事はこの発言をすっかり忘れてしまったのだろうか。「かわいらしいねずみ」が東京への贈り物だと言う。

 

小池知事は昨年末、敵対関係にあり、その体質をブラックボックスだと批判してきた自民党に対し「言い過ぎた」と陳謝している。表向きは「偏在是正措置」撤廃に向けて共闘するため、となっているが、自身の選挙を意識していないとは言えないだろう。

 

小池知事の復権は、炎上覚悟の「可愛らしい」ツイートや、かつて「黒い頭のねずみ」としてきた勢力に擦り寄ることではなしえない。選挙の再選を考えるのは、政治家にとって当然のこと。しかし、イベントにどれだけ出席しても、約束したことを反故にする政治家を有権者は許さないだろう。

 

小池知事が再選されるには、残された任期を、既得権益と闘う「東京大改革」の実現に命懸けで取り組むしかないのだ。我が会派がこれまで訴えてきた通り、「黒い頭のねずみ」は都政の至る所に巣くっている。これを明らかにし徹底的に駆除する姿勢こそ都民から求められているのではないだろうか。

 

東京都は「落書き」が本物のバンクシーの絵かどうか確認するらしい。だが、この絵を描くのに用いるステンシルが出回っているとの情報もある。思いつきのツイートが、みっともない結果とならないように祈るばかりだ。