日本維新の会 豊洲・築地市場問題合同調査チームは6月8日、小池百合子知事宛に「豊洲市場移転問題に関する緊急提言(第二弾)」を提出しました。以下全文を掲載します。

 

(緊急提言)

築地市場の豊洲市場への移転問題を巡り、小池百合子都知事が設けた「市場問題プロジェクトチーム」がようやく報告書案をとりまとめた。しかしながら、築地市場の再整備と豊洲市場への移転を両論併記するなど一見しただけでは何が言いたいのか分かりづらい報告書となっており、混乱に拍車がかかる恐れがある。

日本維新の会は、豊洲・築地市場問題合同調査チームを設置し現地視察を行うとともに、3月9日には「豊洲市場に速やかに移転すべき」とする提言書(別添)を小池都知事に提出したが、これも、土壌汚染を巡る安全と安心の関係等に係る混乱を整頓し、都民の皆様に判断の材料を提供するためであった。

ところが、6月23日の東京都議会議員選挙告示日まで2週間となった現在も、小池都知事は「総合的に判断する」と繰り返すばかり、小池都知事が代表に就任した都民ファーストの会も「知事の立場を尊重」するとして判断を放棄してしまっているのが現状である。

そこで日本維新の会としては、今般の市場問題プロジェクトチームの報告書を検証した上で改めて緊急提言(第二次提言)をとりまとめたところであり、本提言を小池都知事に提出するとともに公表し、都民の判断に資するものとしたい。

 

提言1.小池都知事は、都民ファースト代表として市場のあり方に関する方針(=公約)を速やかに(都議選に先立って)公表すべきである。

 

東京の小池都知事が自民党を離党し「都民ファーストの会」代表に就任し、かつて大阪で橋下知事が「大阪維新の会」を立ち上げ代表としてリードした大阪改革との“類似性”が取りざたされている。しかしながら、これまでの小池都知事の仕事ぶりを拝見する限り、選挙の重要性を理解し、選挙に真摯に向き合っているようには見えない。

 

確かにこれまでの古い政治にあっては、選挙公約は耳障りのいい内容にしておくのが常識であり賢明であったかもしれないが、賛否が伯仲し民意が二分するような困難なテーマであればあるほど最後は選挙で決めざるを得ない。実際、日本維新の会の礎を築いた大阪維新の会は、初めて臨んだ統一地方選挙で既存政党がこぞって反対する身を切る改革と統治機構改革を訴え、府議会単独過半数を獲得、選挙直後に議員定数2割削減を実現したのである。

 

豊洲市場の移転については、当に、専門家会議の座長が既に安全宣言を出し、市場問題プロジェクトチームが今月5日に報告書案をとりまとめたのであり、必要な検討材料は概ね出揃ったと言ってよい。

「総点検する」 「知事の立場を尊重する」では、有権者は判断 できない!

小池都知事・都民ファースト代表は、都議選の前に豊洲市場に移転するのか築地市場を再整備するのか、大きな方針を公表し、都民の皆様に判断材料を提供するべきである。

 

提言2.市場問題PTは、公的な会議体としての体を成していない。都庁のガバナンスを再構築すべきである。(決定する戦略本部会議の構築) 

 

市場問題プロジェクトチーム(PT)については、発足当初から市場問題を担当する会議体として相応しいの各所から疑問の声が出ていたが、実際、森山高至委員が中途辞任し都議選への立候補を表明するなど混乱のまま、5日に報告書案をとりまとめた。特に問題なのは、市場問題PTと「市場のあり方戦略本部」(戦略本部)との関係も整理されておらず、実際にとりまとめられた市場問題PTの報告書案を検証すると、上位会議であるはずの戦略本部で議論された内容をPTが否定するなど、ちぐはぐな記述も散見される。

 

日本維新の会は、3月9日に公表した3つの提言の一つとして、「都庁のガバナンス改革(東京版戦略本部会議の設置)」を掲げたが、言うまでもなく、やみくもに屋上屋の会議体を設置することを求めたのではない。  大事なことは、トップの判断が必要な情報に基づいて透明な形で執り行われることであり、そのための仕組み作りである。

 

こうした観点から言えば、実は、小池都知事は、昨年9月に「都庁マネジメント本部」を既に設置している。当にマネジメント機能を強化し豊洲市場問題で浮かび上がった各部門間の情報共有不足や責任の所在の不明確さといった問題解消を目指したものと報道されているが、残念ながら過去20回の本部会議で豊洲市場問題が検討された形跡はない。新たな会議体を設置し隠れ蓑にするのではなく、「都庁マネジメント本部」のようなトップの判断をサポートする仕組みを有効に活用すべきである。

 

過去20回の 本部会議を通じて、 豊洲市場問題が 検討された 形跡はない。

 

 

提言3.豊洲市場については、安全・安心基準を都知事主導で再定義し、速やかに豊洲市場移転を実現すべきである。(卸売市場法の改正)  

 

豊洲市場の土壌汚染に係る安全と安心の混同と、それに伴う風評被害は、ひとり東京都の豊洲市場のみで起こっているのではない。福島の原発事故に係る風評被害、東北の瓦礫の受け入れを巡る困難な事態は、すべて安全を巡るリスクコミュニケーションの失敗に起因していた。特に、豊洲市場の場合、それが卸売市場という都民の食の安全安心にかかわるため、都議会も報道機関も過剰反応し、全国の卸売市場を巻き込んで、今に至るまで事態を混乱させている。

 

本来、中央卸売市場の開設者である東京都知事は、率先して適切なリスクコミュニケーションに努めなければならないのに、小池都知事は自らが先頭に立って風評被害を拡大している。今後とも小池都知事がその果たすべき役割を果たさないのであれば、全国の卸売市場と国民の食の安全安心を確保するため、甚大なる風評被害に苦しむ豊洲地区の住民の皆様のため、立法措置も検討せざるを得ない。

 

具体的には、中央卸売市場の開設者による食の安全に関する適切なリスクコミュニケーションを義務付ける法律案(別紙1)を今国会に提出する。本来、日本維新の会は、地方分権政党として卸売市場法の規制緩和を主張しているところであるが、東京都を含む全国の地方政治が大阪府市のように成熟するまでの間の暫定的な措置として位置付け、実施してまいりたい。

 

提言4.豊洲市場の損益は、指定管理を含む民営化、管理コスト削減、ビジネスモデルの革新、市場の集約化により改善可能であり、すべきである。

 

市場問題PTの報告書は、豊洲市場移転に当たっての2つの「大きな問題」の一つとして、市場会計の「大赤字」を取り上げている。しかし、豊洲移転か築地改修かの2案を比較検討する場合には、どちらの案を採用してもこれまでに投資した5,884億円に変わりないため、投資意思決定においては減価償却費を考慮から外すべきである。(別紙2)

 

もちろん、市場会計全体の今後の損益を考える場合には減価償却費も考慮すべきであるが、都庁を挙げて取り組めば大幅な改善が可能である。来年の通常国会には合理的理由の無くなった規制を廃止する卸売市場法改正案が提出される見通しであり、経営努力の余地も格段に拡がっていくものと考えられる。

 

例えば、大阪府は平成22年2月に橋下徹知事(当時)をトップとする戦略本部会議で中央卸売市場への指定管理者制度の導入を決定し、平成24年4月から実施、中央卸売市場の経営効率化と活性化を図ることに成功している。こうした指定管理等の民営化手法に加え、デマンドレスポンス等を通じた管理コスト削減、バックヤード機能の拡充等ビジネスモデルの革新、更に必要であれば市場の集約を行うことにより損益を大幅に改善することが可能である。

 

大阪府は 中央卸売市場に 指定管理者制度を導入し、 収支を改善。

 

 

市場問題プロジェクトチーム第1次報告書の 会計上の問題点

 

減価償却費などの専門用語の誤用、投資意思決定の話と損益計算の話の混同などが目につく非常にレベルの低い報告書であり、東京都が設置した公的な会議体のアウトプットとは思えない。特に、築地改修案にある数値の根拠が乏しく、投資意思決定に役立つ資料とはなっていない。

(例)

「減価償却を含まない収支」は大規模修繕・設備更新の費用を留保しないので、豊洲市場は「使い捨て・使いきり」の施設ということになる」

「減価償却」は施設の大規模改修や設備更新のための費用を内部留保するためのものであり…

 

いずれも間違いである。減価償却費はあくまで適切な期間損益計算のために必要な費用(計算要素)であって、設備更新費用等を内部留保するためのものではない。修繕費や建物更新等の投資費用をどこから持ってくるかは減価償却費とは全く別の話である。そもそも減価償却費は、期間損益計算(市場の経営)を考えるためには必要な計算要素ではあるが、投資意思決定のためには必ずしも必要な計算要素ではない。既に支出済みの減価償却見合いの建物建築費は埋没費用(サンクコスト)でしかなく、その後のランニングコストを算出する際の考慮要素にしかなり得ない。

 

提言5.築地市場は、耐震上の懸念が既に顕在化しており、速やかに閉場し、環状2号線の整備を進めるべきである。  

 

築地市場の改修・再整備案の最大の課題の一つは、耐震性の問題である。十分な耐震性が確保されていない建物が6棟あるにもかかわらず不特定多数の観光客が出入りしているという異常な状態が今後何年も継続することとなる。市場問題PTも「観光客の出入りの規制を強化するなど地震による被害を最小限にするための対策を早急に講じるべき」と指摘している通りであるが、改修・再整備を進めるのであれば、土壌調査、合意形成、建て替えを含む長期にわたる地震対策を講じる必要がある。

 

もう一つの大きな課題は、環状2号線の整備である。最終的には築地の地下部に片側2車線の道路を通す予定であるが、東京オリンピック・パラリンピックの期間中は、片側1車線の仮設道路を使用するという。しかし、市場問題PTの報告書が示す整備方針は、未だ関係部局のチェックが入っておらず、そうした調整に耐えうるものであるかさえ不明である。

 

私たちは、土壌調査、合意形成、建て替えを含む長期にわたる地震対策を講じることが出来ないのであれば、観光客、そして市場で働いている方々の安全を確保する観点から、築地市場は速やかに閉場すべきと考える。それが、同時に東京オリンピック・パラリンピックの円滑な開催にも資するものと考える。小池都知事は速やかに豊洲移転を決断すべきである。

市場問題PTが示す整備方針は、 未だ関係部局の チェック入らず

 

 

以上

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