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2016/03/22

舛添知事は、韓国人学校より中国人学校をつくれ!?

お知らせ / ブログ / 活動報告

ティッシュをひっぱる赤ちゃん

 

こんにちは。

東京都議会議員(大田区選出)のやながせ裕文です。

 

先日のブログ記事がかなりの反響を呼んでまして。

舛添知事は、韓国人学校より保育所をつくれ!

舛添知事の反論。韓国人学校より保育所をつくれ!その2

 

たくさんのご意見を有難うございます。

調査を続けていますが、判明したこともありますので報告を。

 

まず、私の主張を曲解している方もいるので、あらためて書いておきますが、

 

「保育所や介護施設、特別支援学校など、都の福祉教育施設が圧倒的に不足しているなか、限られた都有地を、韓国人学校に優先して貸与するのは順番が違う」

 

ということです。土地に余裕があるのであれば、韓国人学校への有償貸与に問題はないでしょう。問題は、この当該地(旧市ヶ谷商業高校跡地)が他に行政需要がないかという点です。多くの方から質問を頂いた論点なので、この点を今回は掘り下げます。

 

■跡地の利用計画は知事訪韓後に大きく変更となった

 

時系列を追って、東京都が当該地の利用計画をどのように検討してきたのか、事実関係をみてみたいと思います。

 

平成21年3月 都立市ヶ谷商業高校が閉校となる

平成22年11月 東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画を策定

→この計画のなかで当該地に、知的障害をもつ高校生を対象とした「市ヶ谷地区特別支援学校(仮称)」を平成31 年度に開校すると位置づける。

平成26年7月 舛添知事が訪韓。朴大統領から「韓国人学校」用地確保の依頼を受ける。

平成27年5月 東京都教育委員定例会で「特別支援学校」を当該地から別の場所に設置すると計画変更の報告

 

まず、注目したのは、教育委員会の計画変更です。当該地はそもそも、このエリアに不足している、知的障害をもつ子どものための「特別支援学校」を設置する予定でした。それが急遽、平成27年5月に変更となります。変更理由を説明した議事録を抜粋します。

 

本地については、周囲の道路が狭あいということで、実際の設計に向けての調整に入ったところ、道路幅員が4メートル未満であること、近隣との調整が非常に困難であること、新宿区の拡幅事業を行う場合には相当期間の調整が必要だということ、更には、土地の面積が少なくて、立ち上がったところで延床面積もかなり少ないということもあり、調整が非常に困難であるという状況でした。

 

つまり、平成22年に策定した計画が、5年後になって「道路が狭い」「土地の面積が少ない」などの理由で変更されているのです。

 

うーん。おかしくないですか?

 

この会議でメンバーから「4メートル未満の道路とか狭あいというのは初めから分かっていたこと」との発言があったように、理由にならない理由で計画を変更しているのです。そんなことは、計画策定段階でわかっていたことではないでしょうか。

 

もちろん、「新宿区内に代替地を見出すことができた」という事実はありますが、ポイントは、代替地は遺跡調査が必要な場所であり、当初予定の平成31年開校はとうてい間に合わないということです。一刻も早い開校が必要な状況にもかかわらず、計画の変更により「正確な日程を確定できない」状況に追い込まれているのです。

 

なんで、こんな無茶な計画変更を突然行ったのか?

 

日程としては、舛添知事が訪韓して10ヶ月後、土地探しをして「なかなか見つからない」と判断するであろう頃と重なります。

 

まさか「特別支援学校」の計画を無理やり変更し、知的障害をもつ子どもの環境整備を遅らせてまで、「韓国人学校」の設置を優先する判断をした、なんてことはないですよね。

 

■舛添知事は「新宿区」からの要望は聞いていない!?

 

さらに時系列を追ってみますが、教育委員会が当該地を使用をしないと表明した直後、新宿区議会で話題となります。「待機児童対策」として使用できないかというものです。以下は平成27年6月10日の新宿区議会質疑の抜粋です。

 

(川村のりあき議員)旧市ヶ谷商業高校跡地は最も保育ニーズが高い牛込箪笥地域に位置し、保育園を設置する場所としては最適と考えます。また、牛込第一中学校に隣接し、将来的にもさまざまな活用ができる場所であり、区は直ちに東京都に対し、取得の意向を示すべきと考えますが、いかがでしょうか。

(吉住区長)現在、愛日小学校の仮校舎として使用している旧市ヶ谷商業高等学校跡地については、東京都にも打診していますが、平成29年3月まで区が借用しており、その後の活用については、今後検討するので、現段階では要望を受けられないとの回答を得ています。

 

日本共産党の川村議員の質問に対して、吉住区長(元自民党都議)は「打診をした」が「今後検討するので受けられない」と要望を断られたと明確に答弁しています。同様に11月26日の議事録。

 

(田中のりひで議員)これまでも提案している旧市ヶ谷商業高等学校跡地等都有地の適否を含めた検討状況や、東京都・国への照会状況についてお聞かせください。

(吉住区長)旧市ヶ谷商業高校跡の都有地については、以前から都にも打診していますが、平成29年3月まで区が借用しており、その後の活用については平成29年4月以降に検討するので、現段階では要望を受けられないとの回答は変わっておりません。

 

これも日本共産党の田中議員の質疑。吉住区長は「都が平成29年4月以降に検討する」と「要望は受けられないとの回答は変わらず」と答弁しています。

 

舛添知事は記者会見で「新宿区からの要望は聞いていない」と発言していますが、新宿区長の答弁と明らかに齟齬があります。当該地は保育所の重点整備地域に指定されており、区が関心を持たないなんてことはありません。だから、何度も議会質疑がされているのです。

 

しかし、この新宿区長の答弁が真実で、都が「平成29年4月以降に検討する」と回答しているなら、これは真っ赤なウソということになりますね。平成28年3月に「韓国人学校に貸与する」と発表してますから。

 

以下の産経新聞の報道にありますが、私も新宿区から同様の返答を受けています。

「なぜ韓国人学校」1日で批判300件 「都は用地貸与せず保育所整備を」

区は昨夏、都教委の担当課に保育所整備用地として借りたいと申し出たが、「要望を受ける窓口がない」と受け付けてもらえなかったという。(産経新聞)

 

以上の事実からすると、舛添知事は「聞いていない」と言っていますが、都庁に新宿区の意思は伝わっていたとみるのがふつうでしょう。つまり地元自治体からの「保育所などを整備するために使用させてくれ」という意思をうまく拒んで、韓国人学校に貸与することを決めているのです。

 

知的障害をもつ子どもの教育環境整備、待機児童対策より外国人学校の整備が優先される理由があるのでしょうか?

 

■外国人学校の整備は必要か?

 

都は「外国人学校の整備」について、どの計画(長期ビジョン等)にも位置づけをしていません。これまで「どうぞ各国で整備してください。都は認可だけやります」というスタンスで、都の課題として存在していないのです。当然、なんら議論もなく、「朴大統領から依頼された」ということ以外、必要性について検討された形跡はありません。今回の舛添知事の判断はまさに「暴走」といえます。

 

「待機児童対策」は長期ビジョンでも都の基本目標に明示される「最重点政策のひとつ」であり、「保育サービス利用児童数を平成29年度末までに4万人増加させる」という数値目標も掲げています。平成26年度末で約1万2千人の増加となっていますが、まだまだこれからという状況です。

 

もし、舛添知事が「外国人学校の整備」を都政の重要課題と位置づけるなら、計画を立て、その必要性を検証し、広く訴えるべきです。そこが欠けているのです。ちなみに、都内外国人数(平成28年1月1日現在)を国別でみてみると、以下の通り。

 

中国 185,982人

韓国・朝鮮 93,309人

フィリピン 29,575人

ベトナム 22,131人

ネパール 18,412人

 

このなかで認可学校を都内に持っているのは「韓国」と「朝鮮」だけです。また、10年前と比較すると、中国人が約1.5倍に増加しているのに対して、韓国・朝鮮人は1万人以上減少し、約87%まで落ち込んでいます。この統計を素直によんで必要性を検討すると、「外国人学校の整備」が都の重要課題となったとして、

 

「韓国人学校」よりも「中国人学校」をつくれ!

 

となる可能性もあります。舛添知事が北京を訪問し、「東京には韓国人の2倍の中国人がいる。韓国に貸与した土地の2倍の広さを用意してほしい」と依頼されたらどうするのでしょうか?

 

東京の限られた土地を、場当たり的な約束で使用することは許されません。

 

ちなみに、東京新聞の取材では、増設が必要だと依頼を受けた「東京韓国学校」の現在の在籍数は約1300人となっています。定員総数の1440人には満たない状況です。在籍数は変動が激しく、初等部への入学希望者が多くなっているとのこと。都内在住の韓国人が減少するなか、これは一時的な現象の可能性はないのか。そうであれば、施設の増設ではなく、近隣建物の一時的な貸借などで解決できる可能性があります。

 

大統領に頼まれたからといって、冷静な判断を欠いてはいけません。戦略なき場当たり的な「都市外交」では、都民の利益を損ねるものとなってしまいます。

 

現在、質疑されている都議会予算特別委員会でも、ほとんどの時間が「待機児童対策」に費やされています。追及を続けていきたいと思います。