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2016/02/17

残念すぎる、典型的なダメな「広報」

お知らせ / ブログ / 活動報告

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こんにちは。東京都議会議員(大田区選出)のやながせ裕文です。

なんだか、政治を取り巻く世界ではネガティブな話題が多すぎて、明るい情報をお伝えしたいのですが、がっくりするような残念な話題をお届けすることに。

先日「平成27年度包括外部監査報告書」が公表されました。

東京都では、毎年、外部の公認会計士などと契約して、特定のテーマについて、都や関連団体に対して監査をすることになっています。外部の目でチェックするということですね。その結果がこの報告書。

今年のテーマは、「教育庁と生活文化局の事業」について。695ページの分厚い冊子なのですが、下手な小説より面白い。外部の視点で都政のムダや非効率なところをバッサリと切り込んだ内容になってます。毎年熟読しているのですが、そんな私でも目が点となるような指摘が!!!

(意見2-12)都政広報番組(テレビ・ラジオ)による広報活動の効果について
広報広聴部のテレビ・ラジオ番組の全体について、平成26年度の視聴・聴取している都民1人当たりコストを監査人が推定計算したところ、年間コストが多額(1,413百万円)であるのに対して視聴・聴取している都民が少ない(推定2,669千人から385,283千人)ことから、利用者1人当たり年間コストが65.2円から5,598円という結果になった。また、広報広聴部が平成26年度に実施した「広報広聴活動に関する調査」によれば、テレビ・ラジオ番組を知らないと回答した割合が非常に高い状況にある。番組によっては、その内容の見直しを実施しているものの、視聴率・聴取率が非常に低迷していると言わざるを得ないことから、このような番組については、効率性・経済性の観点から、撤退を含む抜本的な改革を講じられたい。

むむむっ!!!!!

一部新聞でも報道されたのですが、書きぶりがすごいですよね。要約するとこんな感じ。

「東京都は広報活動でTV・ラジオに14億円も使っているが、ほとんど見られていない。番組も知られていない。ムダだからやめなさい!」

うーん。なかなか厳しいです。容赦なく「監査」の役割を果たしていますね。

ちなみに、東京都が提供している番組はこちら

http://www.koho.metro.tokyo.jp/hoso/

「えっ、こんなに番組やってるの?」と驚く方も多いのではないでしょうか。「驚く」ということは知らないということですよね。

都の調査では、「東京サイト」以外の提供番組について「知らない」と回答した都民が8割を超えているようで。監査では、この調査結果から「番組の知名度の低さが問題」として、改善を求めている。

でも、知名度が低いからいちがいにムダだとは言えない。都は誰に、何を伝えたいのか。どこをゴールとしているのか?これが大事で、そのゴールに番組がどれだけ寄与しているかを検証すべきです。

では、都の広報戦略はどうなっているのか。担当者を呼んで聞いてみると。。。。。

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示されたのは2枚のペーパー「平成27年度広報広聴方針」なるもの。1枚は広聴活動について書かれているので、実質1枚。一部抜粋します。

「正確に、わかりやすく、タイムリーに」を基本に、広報の目的、対象、内容に応じて、時期・媒体等を適切に選択し、自主広報とパブリシティの両面から、効果的に行う。

あまりの衝撃にアタマがクラクラします。

「本当にこれだけしかないの?」

「・・・です。」

そうです。お察しのとおり、広報戦略なんて存在しないんです!

誰に、何を伝えるのか?認知なのか態度変容を目的とするのか?目標は?

そんなものは東京都の広報において存在しないのです。

ひとつ、都の側にたっていうと、各事業局毎に目標らしきものがある?ようで。東京都全体ではないとのこと。つまり、企業でいうと、各商品毎にマーケット戦略はあるが、企業としての戦略はない、という感じ。よくいえばだけど。

でもメディアバイイングは事業局ではなく、全体を統括する広報セクションでやっている。これまで何をものさしとして媒体を選んできたのだろう?

「とにかく、みんなにお知らせすればいい」というダメ広報の典型的な例です。結果責任を問われない役所ならではのものでしょう。

長年の慣習となっており、修正するのに時間がかかりそうですが、粘り強く訴えていきたいと思います。

ふぅ。