MENU

2016/01/16

放射性ヨウ素、いま東京で検出のナゼ????

お知らせ / ブログ / 放射能と闘う / 活動報告

こんにちは、やながせです。本日、東京都の予算大綱が発表されました。ツッコミどころが満載なのですが、それは後日として、気になるニュースが飛び込んできたので、久々に放射能についての話題を。

 

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う水産物の出荷自粛等の解除について

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2016/01/20q1e600.htm

 

平成25年6月に基準値を超える140Bq/kgのセシウムが、江戸川で採取されたウナギから検出された。東京都では、これをきっかけとして、漁協に対して江戸川等のウナギの出荷自粛を要請していたが、平成28年1月14日付けで解除することに決定した。これで都内産食材の出荷自粛要請はすべて解除されたことになる。(訂正:都内産で1箇所だけ解除されていない食材があることが判明しました。)

 

原発事故から5年が経とうとしている。放射性物質の影響について、東京の「いま」を検証してみたい。

 

なお、過去に都議会で追及した放射能対策への取り組みは、こちらに。下水処理施設を調査し、高濃度に汚染されている状況をメディアで明らかにしたときは、大変な反響でした。議会ではボッコボコにされましたが。

 

放射能と闘う

https://yanagase.org/category/radioactivity/

 

 

 ■都内産食材や水道水の影響は?

まずは、東京で生産されている農林水産物の状況はどうか?

 

平成27年度 都内産農林水産物等の放射性物質検査結果について

http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/whats-new/27yasai-ichiran.pdf

 

上記は27年4月~12月の検査結果だが、ほとんどのサンプルで放射性物質が不検出となっている。農産物・茶からの検出はゼロ。

 

水産物では、ウナギの4サンプルからセシウム137が3.3~5.5Bq/kg検出。ウナギなど川底の汚泥中にいる生物は、沈殿している放射性物質を吸収しやすいからだ。

 

林産物では、施設栽培シイタケの5サンプルからセシウム137が7.4~19Bq/kgを検出している。きのこ類はセシウムを吸収しやすい性質がある。

 

しかし、いづれも基準値の100Bq/kgを下回る数値となっている。

 

 

次に、都内水道水の状況はどうか?

 

平成28年1月の浄水場(所)の原水の放射能測定結果について

http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suigen/shinsai/pdf/sokutei/3gennsui_1601.pdf

 

検査結果は不検出。検出限界値(0.7~0.8Bq/kg)未満なので、水道水のもととなる原水への影響はないと言える。原発事故後の平成23年9月を最後に、検出はされていない。なお水道水の基準値は10Bq/kg。

 

 

■道路・公園などの汚染状況は?

 

次に、東京の道路・公園など街全体の汚染状況はどうなっているのか?

 

それを知るためには、下水処理汚泥・焼却灰の放射能濃度を調べるのが手っ取り早い。

 

道路や屋根、公園など街をおおう放射性物質は、雨で下水道に集められる。下水処理場に集まったそれらの汚泥は、減量化のために焼却される。その過程で、汚泥に含まれていた放射性物質が濃縮され、焼却灰のなかに高濃度に検出されるようになるのだ。

 

都では、この焼却灰の放射性物質検査を定期的に行っている。

 

下水処理における放射能濃度等測定結果

http://www.gesui.metro.tokyo.jp/oshi/infn1002.htm

 

まだ、焼却灰のセシウムは600Bq/kgを超える箇所もある。かつての30,000Bq/ kgからみると、その影響は落ち着いたといえるが、依然として放射性物質が残存している現状がわかる。

 

ただ、問題はそのつぎ。

 

■なぜ、放射性ヨウ素131が検出されるのか?

 

思わず目を疑ったのは、放射性ヨウ素131の数値。

 

 

南多摩水再生センター 24Bq/kg

八王子水再生センター 37Bq/㎏

 

なんで、いま放射性ヨウ素131が検出されるの????

 

放射性物質は、時間の経過とともにパワー(放射能)が減少する性質がある。パワーが半分となる期間を「半減期」と呼び、その期間は、各物質によってそれぞれ異なっている。

 

例えば、セシウム137は30年、プルトニウム239は2.4万年、ウラン238は45億年!

 

気が遠くなるような期間を経ないとパワーが減少しない放射性物質もあるなか、あっという間にパワーがなくなっていく「半減期」が短い物質の代表が、「放射性ヨウ素131」である。

 

放射性ヨウ素131の半減期は「8日」である。

 

つまり、放射性ヨウ素131は、生成・放出されてから8日で半減、16日で4分の1、24日で8分の1、32日で16分の1・・・・・・・・

 

と計算していくと、原発事故から5年(1800日)が経とうとするいま、当時放出された放射性ヨウ素131は、ほぼゼロとなっているはず。検出限界値以上の値が検出されるというのは、とうてい考えらないこと。

 

そもそも、事故直後の平成23年5月19日の検査でさえ、焼却灰から放射性ヨウ素131が検出されたのは、清瀬水再生センターの206Bq/㎏だけなんです。

http://www.gesui.metro.tokyo.jp/oshi/infn0513.htm

 

しかも、この放射性ヨウ素131はウラン燃料が核分裂をした時に生じる物質で、自然界には存在しません。

 

いかに、いま放射性ヨウ素131が検出されることが異常な状況か、ご理解頂けたと思います。

 

あとは、以前より指摘のあった「医療用に使用しているヨウ素」が検出されているのではないか?とも考えられますが、この数値を検出するためには、莫大な放射能量が必要となります。

 

「いまだに原発から放出されている」とは空間線量の数値から考えにくいのですが。

 

厳密に検証を続けたいと思います。どなたか情報をお持ちの方がいらっしゃれば、ご連絡を。